1995年にフリーとして独立して、国内外の企業やブランドと商業プロジェクトを中心に関わってきた。 » “成果” の項目参照

 

幼少期を過ごした京都の丹後地方を30年ぶりに訪れた2007年、あまりの寂れ具合に驚いた。消費されることを前提に計画デザインされる商業プロジェクトへの虚しさも感じていた頃。丹後では思い出が消滅してしまうことへの恐怖、大きな悲しみを想像してしまった。

一方で、そこにはニッポンのタイムレスな美しさ、魅力がデッドストックのように保たれており、私だけに限らず、外国人にも、もちろん多くの日本人にも大変な価値を感じるものであることも確信した。

ニッポンの観光に、私のこれまでの経験から獲得した専門的な技術や独創的で本質的な考え方を導入していきたいと決意した時だった。

 


利潤追求やブランド確保を優先する商業プロジェクトでは当然のようにある概念が、観光プロジェクトではおぼろであり、それを表現、達成する方法が曖昧な理解で推進されている場合が多い。認知度や、集客、売上げ、プロモーション、ブランディング等々。

手法は使えない部分もあるが、本質は同じである。   » “本質を削りだす” の項目参照


その本質の部分を友人を始め、いろんな人に話しているうちに、国交省観光庁からの講演依頼が来るようになった。

同庁のスポーツツーリズムの観光人材育成の上級コースの講師として派遣され、沖縄での観光の実態も見せてもらった。同庁からの紹介で鳥取県の県政アドバイザリースタッフに就任、今年任期を更新した。経産省でアウトバウンドにも関わり、大手旅行代理店ではキャンペーンを企画し、取材しコピーを書き、WEBやノベルティのクリエイティブまでを幾つか担当した。

日本の観光産業の実態を理解し始めた。


一方では、小さい頃から日本国内を転々と引越を繰り返し、学生の頃からバイクや車で日本をくまなく走り、海外のリゾート地、観光地を長期で訪れたりしている。

そこでたくさんの現地の方達、文化に触れることで経験的に蓄積された、地方の伝統技術、素材、色、様式、慣習、日本の美意識は、これまでの国内外の商業プロジェクトでも既に活用してきている。

消費者、観光客としては今も現役で経験を重ねている。


そこで感じているニッポンの観光が光り輝き続けるためのキーワード、コンセプトを簡単に幾つか紹介しよう。詳細や続きを聞きたい場合には、是非、To Face ボタンをクリックして、お会いしてみましょう。


それでは、以下に



コンテンツではなく切り口

:日本の地方の魅力を伝えるときに、自然、歴史、食事、そしておもてなしというコンテンツを挙げる場合が多いが、このコンテンツは日本中どこでも少なからず似ている。どこも、自然が豊富で、なんらかの歴史があって、食事は美味しくて、地元の方達は優しい。程度も曖昧だ。それらのコンテンツをより際だたせる切り口を見つけることの方が重要なのだ。切り口に個性が出てくる。旭山動物園にいる動物は珍しいものではなかった。動物が活き活きとしている様子を見ることができる切り口を見つけたのだ。


アクティブではなく、パッシブな魅力の伝え方

:商品の魅力を積極的に説明するアクティブ、商品の魅力を感じざるを得ない状況をつくるパッシブ。能動的に積極的に伝えるアクティブ。受動的に思いがけず伝わるパッシブ。北風と太陽の太陽型。ジュースの美味しさを説明するのではなく、喉を乾く環境をつくる。


エンターテインメントではなく、慣習、地元の習慣、日常

:エンターテインメントには膨大なお金と、尽きることのない企画力が必要。

観光客が見たいのは、テーマパークの中に入れて、プログラムに組み込まれるために、牙を抜かれて萎えてしまった形骸化した文化ではなく、そのすぐ外にある地元の住民達の日常に鍛え抜かれた強靱で魅力的な慣習である。


和風ではなく、日本の美意識

:日本らしさを表現するために、桜や富士山、家紋や漢字、訓読みを表現にモチーフとして使用する例が溢れている。たとえ、素晴らしい技術で手間を惜しんでつくっている商品であっても、とたんに、簡単な土産物のようになってしまう。日本の魅力を勘違いしている。それらは求められてもいない。日本の美意識を理解することなくモチーフのみを使用しているそれらは、単なる和風に過ぎない。


付加価値ではなく、潜在化している本来価値

:付加価値が必要である、と口をつく人達は少なくない。とってつけた価値は板につかず、すぐに取れてしまう。取れてしまっても支障もない。そこに価値はなかったのだ。潜在化してしまっている本来価値(ギフト)を掘り出し、磨き上げることが重要だ。それは永遠で必然の価値であり、そこにこそ、価値がある。付加価値に個性を求めてはならない。ギフトを磨けば個性が顕れてくる。


太陽が出ている時間ではなく、沈みかける時間から昇りつつある時間まで

:昼間の時間の使い方について、海外の事例も含めて研究してシステムを開発し、施設を建造してきた。あからさまな価値だ。夕方から早朝にかけての時間帯、闇の前後。陰翳の美意識。 » “陰翳礼讃” の項目参照

その未開の時間帯にこそ、日本独特の美意識が存在している。その時間帯をコントロールできる数少ない業態である宿泊業に日本の観光の可能性が詰まっている。


マーケティングと事業性、豊富な経験と本質的な考え方、それらを表現するデザイン、クリエイティブワークが重要なのだ。総合的な戦略の策定と統括的な実行が必要である。

 

 

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